社員レポート


マンション管理士 遠藤

魅力的なマンションへの道

 私が住んでいるマンションには1階に掲示板がある。なにかの工事実施の通知や自治会からのお知らせに混じって、訃報を目にする機会が増えてきたようだ。



 ○○号室の○○様 享年○歳で永眠されました。あとは葬儀の日取りなどが書かれている。

      

 築21年の分譲マンションだから、購入当事は熟年夫婦だったカップルが今やすっかり老夫婦になっているし、居住者の顔ぶれもずいぶんと変わってきている。


 以前はたくさんの子供たちが敷地内で遊んでいたのだが、みんな成長して高校や大学に通うようになり、小学生だった子たちは親離れして独立してしまった。その後は若い人に代が変わったということも、どこかに子供が生まれたということもあまり聞かず、プレイロットもひっそりとしている。


 今では子供がいなくなった熟年カップルと、つれいあいに先立たれた独居老人ばかり増えているのだ。そして集会室で習う社交ダンスやカラオケもほとんどこの年齢層で構成されているようだし、

管理組合の運営にしてもそうだ。


 これはちょっとヤバいんじゃないかと思う。一管理組合で少子高齢化がこんなに加速度的にすすんでいるのだ。あの人たちに万が一のことがあったら、だれが相続するのだろうか?

相続してもここに住むとは限らないし、売りに出してもまた老人が買うかもしれない。


 老人に囲まれて暮らすのはイヤだと思っても、そのうち世の中どこを見ても老人だらけになるのは目に見えている。そして自分もその仲間入りをするのだろう。マンションの資産価値は住んでいる層も大いに関係すると思われる。老人マンションになっても資産価値を下げずに、異なった世代の人たちにとっても魅力的な物件であるように管理運営していかなくてはと思う。


 一緒のエレベータで最年少の子は現在中学3年生。ひとりっ子だ。

「この子たちが高額な年金を払い、たくさんの老人たちを養わなければならない世の中になるのだ。」と考えると、いつも「大変だね、がんばってね」と声をかけずにはいられない。